小さい頃から偉そうな人間が嫌いだった。
学生時代、テレビのブラウン管の向こう側で….不祥事を起こした大人達が頭を下げる映像を観るたびに、偉そうな大人達をますます嫌いになっていった。。
そんな性格だから、世の中で最も嫌な仕事が営業で、最も合わない仕事も営業だと思い込んでいた。
就職する際には、、もし「俺の酒が飲めないのか?」と言って、頭から酒でもかけられようもんなら、そいつをぶん殴って会社を辞めることを心に決めていた。

でも、縁あって営業の仕事をすることになり….
営業という仕事は理不尽なことでも頭をペコペコ下げていくものだと思っていたが、、実際は違っていた。
同じ課の隣のデスクに、5歳ほど年上の中村さんという先輩がいたのだが、最初、中村さんが取引先と電話で話しているのを聞いてびっくりした。
取引先にペコペコするどころか….電話口で取引先を叱っているではないか。。
しかも、この時だけでなく、中村さんは取引先に叱ったり、強い口調で訴えていることが多かった。
こんな調子だから、、どうせ中村さんは取引先から嫌われていると思っていたのだが、、、実際に中村さんの取引先を訪問して話を伺うと、嫌われているどころか…取引先から圧倒的に信頼されているのが分かったのだ。
それから、中村さんをよく観察していると、相手によって態度を変えないし、取引先のことを真剣に考えているのが分かった。取引先のことを真剣に考えているからこそ、取引先と真剣に向き合っているからこそ、時には強い口調になることも理解できた。ペコペコなんかしなくても、理不尽なことを受け入れなくても、取引先から絶大に信頼されていることが分かった。
そこには…入社前に想像していた「営業という仕事は理不尽なことでも頭をペコペコ下げていくもの」ではない営業があった。
こういう営業スタイルなら、俺でもできるかもと思った。

….それから約2年を経たある時、佐賀県多久にある取引先を訪問した際、取引先の社長から「俺は〇〇会社だから取引してるのではない。俺はお前だから取引してるんだ」と言ってもらえて、鳥肌が立つくらい嬉しくて、、その瞬間に私の天職は営業だと決まった。
社会に出る前は、一番嫌いで一番やりたくないと思っていた営業という仕事が天職になった瞬間だった。

起業する際も、コネも人脈もなかったが、営業には人一倍自信があったから、なんとかなると思ったし、自分を信じ続けられた。

世の中の仕事を全て経験することなんてできないし、、何の仕事が自分にとって天職か?なんて分からない。
でも、今目の前にある仕事に誠実に向き合い、一生懸命行えば、気づいた時には…天職に近づくはずだ☆