https://news.yahoo.co.jp/articles/3fe8bece8ebdf91a883f5623d1b689ae1f3dc76f
本日、ヤフーニュースでピックアップされたニュースが興味深かった。
1読者の投稿に心を動かされた販売サイドが1990年代のワンピースを復刻するというストーリーだ。
まず、記事に対する一般の方のレビューをまとめると…全体的には「復刻ではなくアレンジ色が強く残念」という感じの声が多かったように思う。
つまり、「現代風にアレンジする」のではなく「何も変えずにそのまま蘇らせた」ほうが良かったのでは?というのがマジョリティ意見のようだ。
物作りを行っている私達現場のプロから言わせてもらうと、、
➊まず、1990年代のワンピースを何も変えずに完全復刻するのは、技術的というより物理的に難しい。なぜなら、当時と全く同じ資材が無いからだ。
本体生地だけでなく、裏地・芯地・ボタン・その他副資材において、おそらく1種類も当時の品番は存在しない(廃番)はずである。ユニクロクラスの大手であれば、ロット的にすべて一から創り上げることも可能かもしれないが、今回のプロジェクトの規模感では難しいだろう。
➋今回のプロジェクトが単に「話題性」や「権威付け」を狙うためのストーリーであり、1着だけを再現すればよく、さらに非売品という条件であれば、多大なコストをかけて、かなり忠実に当時のものに近づけることはできると思う。
ただし、あくまでも「販売」という着地点に持っていかなくてはならないのであれば、当時よりもすべての原価(資材・人件費・電気代・輸送費など)が高騰してる中で、値ごろ感のある販売価格に落とし込むためには、当時とは異なる縫製仕様(工程数)や資材・企画でアレンジするしかないと思う。
アレンジ色が強くなった理由は、上記2点の理由が大きいように推測される。
もちろん、記事中にあるように….「温暖化が進行する環境背景や現代ライフスタイルに合わせた」というアレンジ理由は嘘ではないだろうし、納得する考え方だとも思う。
ただ….それであるなら、「復刻販売」というキャッチよりも「レトロブームの波を受け1990年代正統派エレガントワンピースを現代風に復活させた」とかのキャッチのほうが、視聴者やエンドユーザーの違和感を生まなかったのではないだろうか?